大通公園の西端にある札幌市資料館。北海道の開拓と発展を支えた建材「札幌軟石」を使用した建物は、国の登録有形文化財に指定され、道民参加で選んだ北海道遺産にも選ばれています。
大正後期に現在の高等裁判所である控訴院として使用していたその姿をそのままに残し、戦前の歴史をも体感することができます。
戦前に建てられた控訴院として全国で現存するのは、札幌市資料館と名古屋市市政資料館のみと貴重な文化財です。戦前の歴史を感じるその美しい館内は一見の価値ありです。ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
札幌市資料館とは
札幌市資料館は、1926年(大正15年)に現在の高等裁判所にあたる控訴院として建てられました。1973年(昭和48年)11月3日に裁判所の移転に伴い、札幌市資料館として開館しました。
北海道の開拓の象徴である建材「札幌軟石」を使用した建物として貴重なものであり、1997年(平成9年)5月には国の登録有形文化財に選定され、2018年(平成30年)3月には札幌市の有形文化財に指定されています。
次の世代に引き継ぎたい有形・無形の財産のなかから北海道民参加で選んだ「北海道遺産」にも選定されています。
2014年に初開催された札幌国際芸術祭(SIAF)の会場の1つとして使用され、現在は次回開催へ向けた活動拠点として、芸術文化の情報発信やワークショップなどを行なっています。
札幌市資料館へのアクセス、基本情報
● 札幌市営地下鉄東西線「西11丁目駅」1番出口から徒歩5分
● 市電「中央区役所前」または「西15丁目」下車、徒歩6分
● JR北海道バス・北海道中央バス「北1条西12丁目」下車、徒歩2分
住所:札幌市中央区大通西13丁目
TEL:011-251-0731
開館時間:9:00-19:00
休館日:毎週月曜日(月曜祝日の場合はその翌平日)・年末年始(12/29-1/3)
入館料:無料
駐車場:なし
札幌市資料館の外観
外壁は札幌軟石を使用し威厳のある美しい建物です。
冬期はこのような雪景色になり綺麗です。
札幌軟石を使用した外壁は重厚感があり、歴史の重みを感じます。札幌軟石と煉瓦を交互に組み合わせて積み上げる「組積造」が採用されています。
正面玄関の頭上には目隠しをしたギリシャ神話の法の女神テミスのレリーフ、その下には「札幌控訴院」と右から書かれた文字、公平を表す秤のレリーフが刻まれています。
控訴院では「公正無比」の思想を重んじられてきましたが、外見などの先入観ではなく、心の目で見るようにとの思いを込め作られたもので大変珍しいものです。
資料館入口の木製のドアも重厚で歴史を感じます。
札幌市資料館のみどころ
札幌市資料館は2階建ですが、どちらのフロアも無料で見学できます。
入口のドアを通ると、広い玄関ホールがあります。ホールにも札幌軟石が使用され、ドアや壁、天井などの細部にいたるまで美しい作りを楽しめます。
まちの歴史展示室
明治以前からの札幌の街の歴史を知ることができる展示。
札幌軟石・硬石について学ぶことができます。
刑事法廷展示室
1926年(大正15年)に控訴院として落成した頃の刑事法廷を復元しています。
戦後、日本国憲法が公布されると、控訴院は廃止され1947年(昭和22年)から札幌高等裁判所となり1973年(昭和48年)に移転されるまで、ここで刑事裁判が行われていました。
現在の法廷に比べると、窓がたくさんあり細部の美しさが際立っています。
判事席の後ろ頭上にはこちらの「八咫(ヤタ)の鏡」があります。「真実を映し出す」という意味が込められています。鏡の周りの意匠は桐の花です。
鏡の周りのラーメン器のようなデザインは、「グリーク・キー・パターン」または「グリーク・フレット」と呼ばれ、幸福のシンボルでありギリシャ模様が伝わったといわれています。
判事席の後ろの壁には木炭を使用した暖炉があります。大理石を使用しており、とても立派な暖房設備です。
創建当時の壁灯も見られます。
判事席の奥には、判事、検事、弁護士が1947年まで着用していた、法服と帽子が展示されています。1947年までは、帽子もかぶり弁護士も法服を着ていたことに驚きました。
左に見える木製の扉は被告人の出入口です。
SIAFラウンジ
札幌市で2014年に開催したアートフェスティバル、札幌国際芸術祭(SIAF)の会場の1つとして使用されましたが、現在は札幌国際芸術祭の関連資料や、アート資料・書籍などを楽しめるラウンジとなっています。
SIAFの次回開催へ向けた活動拠点でもあり、イベント情報やワークショップの会場ともなっています。
飲み物やスコーンなどの提供もしています。自由に使用できる公共スペースともなっていますので、大通観光の休憩にも利用できます。
静かなラウンジは、ゆったりと過ごすことができとても快適です。Free-Wifiも完備しているのでワークスペースとしてもおすすめです。
2014年のSIAFのゲストディレクターであった坂本龍一氏の直筆サインが残されています。
おおば比呂司記念室
札幌出身の画家であり漫画家である「おおば比呂司氏」の作品を展示しています。無料で観覧することができます。
ほのぼのとした絵柄にほっこりします。
当時のアトリエを再現している展示、ポストカードなどの販売もあります。
大通交流ギャラリー
旧応接室を展望室として開放しています。こちらの窓から大通全体をテレビ塔まで一直線に眺めることができます。
ギャラリーの窓からの冬の眺めです。この位置からの景色はなかなか見られないのでおすすめです。
らせん階段とステンドグラス
正面の入口を入ると2階へのらせん階段があります。白い壁に石の階段、大正モダン感じるステンドグラスがとても美しいです。
シンプルでモダンなステンドグラスを通して柔らかな光が差し込みます。
天井装飾
館内の天井装飾も技巧を凝らした美しいものがたくさんありますので、見逃せません。
刑事法廷展示室の中央装飾。
らせん階段上の天井装飾。
廊下の装飾。
大通交流ギャラリーの天井装飾。
まとめ|札幌資料館で札幌の歴史とアートを楽しむ
大通公園の西端にある札幌市資料館をご紹介しました。「札幌軟石」を使用した建物は、国の登録有形文化財に指定され、道民参加で選んだ北海道遺産にも選ばれています。
札幌の歴史とアートを楽しむことができる施設です。建築好きにもおすすめです。
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