札幌市内には、明治の開拓期の歴史をそのままに残し、有形文化財に指定されている建物が多数あります。
札幌市指定有形文化財の一つで、北海道大学から一本道を挟んだところにある【清華亭】をご紹介します。1880年(明治13年)6月に開拓使によって作られ、明治天皇の休息所となった由緒ある建物です。
小さな建物ですが、和洋折衷の明治初期をちょっと旅した気分を味わえる趣があり、観光コースにおすすめです。
清華亭とは
清華亭は、札幌最初の都市公園である「偕楽園(かいらくえん)」の中に、来賓接待の施設として建築されました。
設計・監督は開拓使(北方開拓のために置かれた日本の官庁)によるもので、約8ヶ月の工事期間を経て、1880(明治13)年6月に完成しました。
全体にアメリカ風の造りですが、日本の文化様式を調和させ、当時としてはまだ珍しかった「和洋折衷」の建物となっています。
1961(昭和36)年6月に、札幌市の有形文化財に指定され、1978(昭和53)年には復元工事がなされ現在に至っています。
清華亭の外観
清華亭の正面玄関です。良質な木材を使用していることから、厳しい北海道の気候の中でも100年余りを耐え抜くことができています。
建材は全て北海道産木材を使用しています。主にトドマツ、一部にアカマツが使用されています。
玄関の上に2つの星が見えます。五稜星と呼ばれる星で、開拓使の建物や旗などにデザインされたものです。時計台や豊平館、北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)、サッポロビール博物館などに今も残っています。
清華亭を庭越しに横から見ると、明治初期には珍しい出窓とガラス戸の大きな開口部が見えます。
清華亭の庭園は、欧風の芝生と日本古来の築山もあり和洋折衷のつくりとなっています。
清華亭の内観
玄関を入ると土間があります。こちらで靴を脱ぎます。
受付で署名をしてから観覧します。
清華亭の見取図です。西側が洋室棟、東側に和室棟があります。
白い壁に、赤い絨毯の敷かれた洋室。開放的な出窓があります。
洋室の天井にはシャンデリアがあります。シャンデリアの基部には、漆喰(しっくい)で天井中心飾(メダリオン)が作られています。内部に「桔梗」の彫刻が施されています。
洋室に和風模様の漆喰装飾は、清華亭の他にも、豊平館と旧永山武四郎邸にも見られ、おそらく同一人物または同じ職人グループの手によるものと考えられます。
洋室内に清華亭の建築についてのパネル展示もあり、より深く学ぶことができます。
洋室のお隣に和室があります。外観、構造ともに洋風でありますが、使用上の目的から和室が備えられたようです。
広い開口部のガラス戸からは庭の様子を眺めることができます。
和と洋が調和した落ち着きのある空間です。
清華亭へのアクセスと基本情報
● 札幌駅北口から西へ徒歩約10分
住所:札幌市北区北7条西7丁目
TEL:011-746-1088
観覧時間:9:00-16:00
休館日:年末年始(12月29日〜1月3日)
まとめ|清華亭で明治を旅する
札幌市の有形文化財である清華亭は明治初期に開拓使によって建てられた和洋折衷の建物です。
当時では珍しい、アメリカ式と和式が調和した建物で、館内は当時を旅しているような気分を味わえます。
札幌駅からも10分とアクセスも良く、北海道大学へも道を一本挟んですぐのところにありあます。小さな建物ですが、北海道観光のコースに加えてみてはいかがでしょうか。
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